夕方の散歩。
ふぁんぐと出かけた狼曉は勢い込んで私の腕の中に飛び込んできた。
「お母さん、お母さん、」
情けない顔をして私に体をすりつける。
ふぁんぐが息を切らして追いついて私に
「母さん狼曉をみてやって、家の手前100メートルくらいで急になにかに怯えだして、シッポを落として家に向って逃げ出したんだよ。」
「え、いろいろ特別な物を見る事のできる犬や猫の話は聞いた事あるけど、狼曉にその能力があるとは思えないわよ?????」
と私は慎重に目から初めて狼曉の体をチェックしだした。
耳、中を覗いて、臭いを嗅いで、うん、大丈夫。
首、胸、右足、左足、異常なし。
お腹、腰、右後ろ足、うん?????
ちくちくとした手触りがして、私が見つけたのは10センチほどのもみの木の枯れ枝。
なんの事はない、この枯れ枝が狼曉の毛に絡まり、ちょうど狼曉の大事なお宝を刺激していたらしい。
ふぁんぐとふたり、枝を見つめて吹き出した。
「なんだ、狼曉、やっぱりお前はおめでたい。」
「お母さん、それ、それ、すごく変だった。」
枝を取ってもらって嬉しそうな顔をして狼曉が訴える。
最近、狼曉は甘えん坊に磨きをかけ、毎晩私の膝の上で一眠りする。
見てください、この情けない顔。
でも、最高にかわいいんです。


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