ふぁんぐが制服を着ると必ず狼曉はそれを阻止しようとする。
ふぁんぐが自分を置いて行ってしまうのが解るからだ。
「え~い!うるさい、やめんかい!」
叱っているのか、喜んでいるのか全く解らないふぁんぐの口調。
そのうちに狼曉がエスカレート、制服のブラウスの袖を引っ張り出した。
ふぁんぐのフラウス、今年で3年目、襟、袖口がもう擦り切れそうになっている。今更新しいのを買うなんてまったく考えていない。
ふぁんぐが叱っている時は私はまったくノータッチなのだが、ブラウスの危機、そうは言っていられない。私は思わず口をだした。
「狼曉、やめなさい!」
狼曉は瞬時に私の横に来て座った。
「おまえ、何考えてんの????どうして、僕だと言う事聞かないの??!」
・・・なにを当たり前の事を・・・・と思いつつも私は黙っていた。
ガキンチョふぁんぐ、腹いせに大人しくなった狼曉の目の前に狼曉の好物「靴下」をぶら下げて履きだした。
思わずお尻が浮く狼曉。
「どうして、そういう事するの?!?」と私。
「あはは、だって大人しくしているとかまいたくなる」とふぁんぐ。
私がふぁんぐに小言を言っているのがしっかりと理解できる狼曉、
「や~い、怒られた~~!」
とはやし立てるようにふぁんぐにまた飛びつく。
「狼曉!いい加減にしなさい」と私。
今度はふぁんぐが
「や~い、怒られた!!!」
「いい加減にしなさいよ、さっさと学校いきなさい!」と私
「あはははは^^^!」
と笑いながら玄関に向ったものの、手にもっているのはお弁当のみ、
「キャー、かばん忘れてる!」
ドタバタ動き回るふぁんぐに狼曉がまたちょっかい、
「さっさと行きなさい!狼曉、やめなさい!」
一度閉まった玄関の扉がまた開いて、
「母さん、僕と狼曉、同列に扱ってない???」
「同列に扱われて当たり前でしょう!!!!さっさと行きなさい!」
「キャハハハハハ!」
・・・・・これが高3・・・・・それでも後姿に
「気をつけて行くのよ。」
声をかける私でありました。
犬上家は今朝もいつもどおりのスタートを切りました。
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